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過労死事件<脳・心臓疾患系②>

脳・心 2021年 新労災認定基準のポイント(前編)

1 認定基準改正の背景 

 脳・心臓疾患の2001年労災認定基準(平成13年12月12日基発第1063号)は,長期間(発症前6か月)の過重負荷による疲労の蓄積を評価する考え方を取り入れ,月80時間超の時間外労働を意味する「過労死基準」を世に広め,救済の間口を広げました。
 一方,認定基準上「不規則な勤務」等の労働時間以外の質的な負荷要因についても考慮すべきとされているにもかかわらず,労災行政実務の現場では「月80時間」の指標が絶対視され,これに満たない事案の多くは,不支給決定処分を受けるケースが後を絶ちませんでした。

 そこで,私も所属する過労死弁護団の弁護士と遺族は,不当な不支給決定処分に対して多数の行政訴訟を提起し,時間外労働が月80時間に満たなくても,質的過重性も加味して業務の過重性を認める勝訴判決を多数積み重ねてきました。

 また,過労死弁護団は,2018年5月,認定基準策定から約20年が経過し,多数の裁判例や医学的知見が集積されてきたことを踏まえ,時間外労働数の目安を月80時間から月65時間に引き下げること等を求める意見書を厚労省に提出しました。

 このような流れを受けて,厚労省は,2020年6月~2021年7月にかけて,「脳・心臓疾患の労災認定の基準に関する専門検討会」を13回開催し,2021年7月16日,「脳・心臓疾患の労災認定の基準に関する専門検討会報告書」を公表しました。
 そして,同報告書を受けて,2021年9月14日,脳・心臓疾患の新認定基準(令和3年9月14日基発0914第1号)が策定され,翌15日から施行されるに至ったのです。

2 新認定基準のポイント

図3 脳・心の新認定基準

 2021年新認定基準は,「発症前1か月間に月100時間 or 発症前2~6か月間に最大平均月80時間の時間外労働」という量的過重性の目安については維持しました。つまり,正面から月65時間への引き下げは行っていません。

 しかし,時間外労働が月65~80時間の事案については,労働時間以外の負荷要因(質的過重性)が認められる場合には,総合判断して業務上外を判断すべき旨を明確化しました。
 これは,従前裁判に持ち込むしかなかった事案について,行政段階(労基署​→審査官​→審査会)で労災認定される可能性を広げたことを意味しますので,遺族にとっては確実にプラスとなります!
 図3は,私の方でこの点をわかりやすくイメージしたものになります。以下,簡単に各考慮要素について説明します。

◆ 勤務時間の不規則性 

【拘束時間の長い業務】
 たとえば,医師や警備員の「19:00~翌朝8:00までの宿直勤務(途中仮眠5時間)」のように,通常勤務よりも実作業時間が少ないものの,自宅に帰れず拘束されていること自体の負荷を評価するものです。
 [評価要素]拘束時間,実労働時間,労働密度,休憩・仮眠の時間数や施設状況等。

 

【休日のない連続勤務】
新基準で追加された評価項目です。
 精神障害だけでなく,脳・心臓疾患についても連続勤務の負荷がされることになりました。
[評価要素] 連続労働日数,発症との近接性,休日数,実労働時間数,労働密度等。

 

【勤務間インターバルが短い勤務】
 新基準で追加された評価項目です。
 勤務間インターバルとは,終業から翌日の始業までの時間のことです。たとえば,20時に就業して翌日9時に出勤した場合,勤務間インターバルは13時間となります。
勤務間インターバルが約11時間未満の場合,睡眠時間が確保できず,脳・心臓疾患の発症リスクが有意に高まるとの医学的知見を取り入れられました。
[評価要素] 勤務間インターバル11時間未満の頻度,連続性等。

 

【不規則・交替制・深夜勤務】
 旧基準では,不規則性のみを重視し,たとえば何年も交替制勤務や深夜勤務に従事している場合には「慣れているので負荷はない。」という考え方を採用していました。
 しかし,新基準は180度考え方を転換し,交替制勤務や深夜勤務が日常業務として行われている場合も負荷要因として評価することにしました。
 これは,生体(概日)リズムと生活リズムの位相のずれが疲労の蓄積に影響を及ぼす(交替制勤務や深夜勤務に人体が慣れることはありえない)との医学的知見を取り入れたものです。
 その結果,不規則性は重視されず,予定どおり交替制勤務を行っている場合や,日常的に深夜勤務に従事している場合も,それ自体過重負荷として認められることになりました。
[評価要素] 不規則性(変更頻度),始業・終業時刻のばらつき,深夜時間帯の頻度等。

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