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図2-1は,総論①の図1-2「労災申請後の流れ」を再掲したものです。
本ページでは,残念ながら労基署から労災不支給決定処分を受けてしまった場合の不服申立手続の実情について解説します。
先に結論から言うと,第2段階の審査請求も,第3段階の再審査請求も,逆転認定率は数%しかなく,かなり厳しいというのが現実です。
だからこそ,タイムカード等の明確な長時間労働の証拠がある事案は別として,労基署段階で確実に労災認定を獲得しておくことが必要となります。
そのためには,労災申請の「前」に過労死・過労自殺事件の経験豊富な弁護士に依頼することが重要なのです。
図2-2は,過労死・自殺等事案(生存事案やパワハラを含む)の審査請求の取消率に関する統計データを私の方でグラフ化したものです。
取消率とは,各都道府県労働局の労働保険審査官が,遺族・労働者側の不服申立に理由があると判断して,労基署の不支給決定処分を取り消した割合です。
つまり,逆転認定率を意味します。
(なお,給付基礎日額に関する取消件数等は意識して除外しているため,本グラフは純粋に,労災不支給処分を審査官がひっくり返して労災と認めた割合と理解していただいて構いません。)
年によって若干バラつきがありますが,精神疾患は約3%前後,脳・心臓疾患事案はそれよりは高いものの,平均すると5%前後くらいでしょうか。トータルでも3%前後(9割強は棄却)です。
このデータから「過労死・自殺等事案の審査請求での逆転認定は,かなり難しい」という厳しい現実がおわかりいただけると思います。
図2-3は,審査請求が棄却された後に不服申立てを行ったときに係る,第3段階の労働保険審査会が不服申立を認容して労基署の処分を取り消した割合のグラフです。
ただし,審査請求と異なり,公表資料から過労死・自殺等事案の労災不支給を取り消した件数を抽出することはできなかったため,この数字は,アスベストの不支給決定処分等の取消しも含んでいる点に注意が必要です。
また,元データ上,脳・心臓疾患と精神疾患とで区別されていないため,一括りで把握するしかありません。
2012年の約1.5%と比べると近年は右肩上がり傾向のように見えますが,それでも3~4%がボリュームゾーンのため,9割強は棄却されているのです。
このデータから,再審査請求での逆転認定も,審査請求と同様に,かなり難しい」という厳しい現実をおわかりいただけると思います。
以上より,労基署段階で不支給決定処分を受けてしまうと,審査請求や再審査請求といった行政不服申立を行っても,覆すことはかなり難しいといえます。
再審査請求も棄却された場合は,裁判所に取消訴訟を起こすしかありませんが,この裁判も勝率1割を切る大変厳しい戦いですし,一審だけで3年程度覚悟する必要あり,遺族・労働者側にとって大きな負担となります。
したがって,過労死・自殺等事案において重要なことは,とにかく,労災申請「前」にしっかり証拠を集め,第1段階の労基署において労災認定を獲得すること,これに尽きるのです。
そうである以上,不支給決定を受けてから弁護士を探すのではなく,過労死・自殺・発症後のできるかぎり早い時点で弁護士を依頼し,証拠を確保した上でクオリティの高い代理人意見書を労基署に提出することを基本戦略とすべきです。
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