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解雇事件-解雇総論(2)

2 解雇の3つの種類と性質

図1-2 解雇の種類

解雇は大きく分けて3種類アリ!

 「解雇通告を受けてしまった!大変だ!」
 たしかに一大事ですが,落ち着いてください。
 一口に解雇といっても,解雇理由に応じて大きく3種類あり,どの解雇を受けたかによって戦い方や集めるべき証拠も大きく異なります。

 図1-2は,3種類の解雇をわかりやすく図示したものです。なお,整理解雇を「広義の普通解雇」の1類型として位置づける考え方もありますが,『労働事件審理ノート』で有名な難波孝一・元裁判官は,整理解雇を「普通解雇とは判断構造の異なる類型」であると提唱されており,私もこの説を支持します。
 そこで,まずは解雇の3種類の区別を説明します。

① 普通解雇 

普通すなわちスタンダードな解雇であり,解雇権濫用法理がストレートに適用される解雇です。解雇理由が「勤務成績不良」「能力不足」「協調性の欠如」等の場合,これに該当します。
 要するに,労働者が労働契約上期待される働きをしなかった(労働契約上の債務不履行)ことによる契約解除です。

② 懲戒解雇 

労働者が非違行為を犯し,企業秩序を乱したことに対する制裁(懲戒処分)の極刑としての解雇です。わかりやすいのは,会社のお金を横領したり,勤務時間外で飲酒運転や痴漢等の犯罪行為に及んだ場合ですね。
ただし,それ以外にも,「業務命令違反」「勤務懈怠」等,普通解雇と似たような解雇理由の場合もあります(普通解雇と一部重なる)。
多くの場合,退職金が支払われず,再就職の障害にもなりえます。

③ 整理解雇 

会社の業績悪化・経営戦略の転換に伴う人員削減(リストラ)です。上記2つの解雇は,労働者側に落ち度があるのに対し(勤務不良,非違行為),整理解雇は,労働者の落ち度がなく,使用者側の経営上の必要性に基づく点が決定的に異なります。

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