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懲戒解雇は,懲戒処分の一貫として行われ,かつ,その極刑としてなされる処分である点が他の解雇(普通解雇,整理解雇)との違いです。
使用者は,労働契約上,企業秩序を乱した労働者に対して制裁する権利を有しています(懲戒権)。
懲戒処分には,戒告,減給,出勤停止など,非違行為の程度に応じて処分が用意されており,その究極形態(極刑)として解雇(企業からの放逐)が認められているのです。
図2-2は,懲戒解雇の典型的な解雇理由と,裁判で争われた場合の判断枠組み・有効要件を整理したものです。
懲戒解雇は,解雇の基本ルールである「解雇権濫用法理」(労働契約法16条)に加えて,懲戒処分としての厳格な手続規制(同法15条)もクリアすることが求められます。
以下,見ていきましょう。
懲戒解雇にも,解雇一般に求められる「解雇権濫用法理」の適用があります。
すなわち,使用者側が,当該解雇につき,↓の2つの要件を満たしていることを立証して初めて解雇が有効となります。
①「客観的合理的理由」= 裁判所からみて,解雇に正当理由があるか
②「社会通念上相当」 = 「最後の手段の原則」を実践したか
懲戒解雇は,懲戒処分ならではの厳格な手続規制に服します。
【就業規則への処分事由等の明記】
懲戒解雇を行うためには,就業規則に懲戒事由(どのような行為をしたら懲戒されるか),懲戒種別(処分の種類)等を具体的に明記しておく必要があります。
【平等原則】
たとえば,3年前にAさんが同種の非違行為に及んだ際は「出勤停止2か月」で済んだのに,今回Bさんに対して「懲戒解雇」処分を行った場合,明らかに不平等・不公平です。
懲戒処分は刑事処分類似のルールが妥当し,同じ「罪」に対する「罰」は同じ重さである必要があります。
【厳格な最後の手段の原則】
普通解雇においても「最後の手段の原則」すなわち,段階的な改善・指導の要請は妥当しますが,懲戒解雇の場合,普通解雇以上にその徹底が求められます。
すなわち,いきなり「極刑」たる解雇が許されるのは相当例外的な場合(かなり重大な非違行為)に限られ,通常は,戒告,減給,出勤停止等の,より軽い懲戒処分で労働者の反省と改善を促し,それでもなお改まらない場合に,極刑=懲戒解雇の発動が認められるのです。
【適正手続】
使用者は,懲戒処分を行う場合,事前に必ず労働者に懲戒手続の開始と嫌疑の内容を告知し,弁明の機会を付与しなければなりません(告知・聴聞)。
本人の言い分も聞かずに一方的にペナルティを与えることは「冤罪」を生みかねませし,仮に本人が認めていたとしても,反省の程度も本人に直接確認する必要があるからです。
したがって,事案にもよりますが,告知・聴聞を欠いた懲戒解雇は無効となる可能性が高まります。
1)まずは解雇理由証明書を入手!
何はともあれ,解雇理由証明書の入手が先決であることは,普通解雇の場合と同様です。
しかも,普通解雇と異なり,懲戒解雇の場合,解雇理由を後から追加することは許されないため,解雇理由証明書で解雇理由を限定することは,防御の範囲を確定することとなり,労働者にとっても重要な意味を持ちます。
2)各解雇理由について,使用者の立証への対抗策を検討
解雇理由証明書を入手したら,そこに記載されている各懲戒解雇事由につき,↓いずれかをしっかり区別して争うべきです。
A 事実自体が存在しないか(事実無根≒無罪主張),
B 事実は概ね争いないものの,それに対する処分が重すぎる(有罪だが量刑不当)
そして,たとえBの場合も,簡単に解雇有効を受け入れて諦めるのではなく,上記懲戒処分の適正手続違反を理由に懲戒解雇処分の無効を争えないか検討しましょう。
通常,懲戒解雇を受けると,退職金を全額不支給とする定めを置いている企業が多いです。しかし,仮に懲戒解雇の有効が覆らなそうな場合であっても,退職金不支給については別途争う余地があります。
一般に,退職金は賃金の後払と功労報償の2つの性格を持つことから,過去の功労を失わせるほどの重大な背信行為があるとまでいえない場合には,退職金の全額または一部が支払われるべきと考えられているからです(小田急電鉄事件-東京高判H15.12.11労判867-5等)。
したがって,懲戒解雇事案では,「百歩譲って懲戒解雇が有効であったとしても」(予備的請求)として,忘れず,諦めず,退職金請求も行うべきです。
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