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労働審判とは?

「労働事件は時間がかかる」という固定概念を破壊した労働審判制度。そのメリットと効果的な活用方法について解説します。

労働審判は早くて安くて旨い!?

1.「労働事件は時間がかかる」は本当か?

2014年に終結した労働事件の平均審理期間は14.3か月だそうです(最高裁調べ)。過払金以外の裁判全体の平均審理期間は9.2か月なので,労働事件は通常の裁判よりも「時間がかかる事件」と言えそうです。

また,過払金以外の裁判全体の上訴率(控訴・上告等の不服申立をする割合)は23.0%ですが,労働事件の上訴率は59.3%と2.5倍超に上っており,感情的対立が激しいせいか,負けた方もすんなり敗訴を受け入れない傾向があるようです。

私の経験でも,過労死・過労自殺事件は一審だけで2年前後,その他の労働事件も1年半前後かかることが多く,控訴したりされたりすればさらに半年~1年かかる旨説明しています。

2.労働事件にスピード革命をもたらした労働審判

2006年4月にスタートした労働審判制度は,労働事件に革命をもたらしました。なんと,2016年の平均審理期間は79.5日2ヶ月半ですから,通常訴訟の5分の1です

しかも,調停成立率72.4%+労働審判に異議が出ずに確定した9.0%を加えると,実に8割以上がこの手続内で解決していることからすれば,早いだけでなく利用者もある程度納得して解決していることが窺われます。

3.弁護士費用(当社比)も印紙代も半額!

労働審判のメリットはそれだけではありません。訴えを起こすときには,請求金額に応じて裁判所に収入印紙で手数料を納めなければならないのですが,労働審判はこの印紙代(手数料)も通常訴訟の半額で済みます。

たとえば,300万円の残業代を請求する場合,通常訴訟だと2万円の印紙代がかかるところ,労働審判の場合1万円でよく,その分費用が抑えられます。さらに,弁護士費用まで安くなります!当事務所の通常訴訟の着手金(費用の意味や詳細は,「弁護士費用」参照。)は原則30万円(消費税別)ですが,労働審判だと半額の15万円(消費税別)でお受けしています。

なぜそんなに安くなるのかというと,通常訴訟は何通も準備書面を書いたり,証人尋問を行ったりと手間と時間がかかるのに対し,労働審判は申立時に陳述書と申立書さえ作れば,その後追加で書面を出す等の労力がかからないからです。

4.立証の負担が少しだけ軽い

「労働事件における立証の壁」のところで触れましたが(注:今後執筆予定なのでまだ触れてません。),労働事件は会社側に証拠が偏在しているにもかかわらず,たとえば残業代請求の場合,一日ごとの労働時間を労働者側が立証しなければならないという負担があります(立証責任の問題)。

通常訴訟の場合,立証責任を厳格に問われるため,裏付け証拠が足りなければ労働者の主張する事実は認められない(たとえば◯月◯日に残業したことが認定されない)ことになります。

これに対し,労働審判は立証責任の負担自体が免除されるわけではありませんが,迅速・柔軟・妥当な解決を目的とするため,そこまで厳密な立証を求められない傾向があります。たとえば,日記やメモ等をもとに,たとえば請求の◯割の限度で残業したものと認めましょう,というような調停案なり労働審判が出ることもあるのです。

「労働審判は,残業代請求事件において,弁護士をダンボール箱から解放した」と言われる所以です。

5.まとめ

このように,労働審判は,時間的にも経済的にも余裕があるわけではない労働者にとって,まさに「早い!安い!旨い!」の3拍子揃った嬉しい制度といえるでしょう。

労働審判はこんな手続!

では,このようにメリットの多い労働審判制度の特徴について,通常訴訟と比較しながら具体的にみていきましょう。

3回縛り(必ず3回以内に終了することが法定されている)

通常訴訟は,何回法廷を開くか,期日の回数に特段制限は設けられていません。裁判迅速化法により,一審手続は2年以内のできるだけ短い期間内に終えることが努力目標とされているにすぎません。

特に,労働事件は事実関係も法律関係も通常訴訟と比べて激しく争われることが多いため,やはり少なくとも概ね8~10回程度(1年)期日が開かれることが多いでしょう。このように,ある程度期日が重ねられることが前提の通常訴訟においては,強い証拠(ジョーカー)は後出しした方が破壊力が大きいといえます。

相手を自由に泳がせておき,頃合いを見計らって相手方の主張が客観的事実に反していることを突きつけることで走者一掃の満塁ホームランとなるからです。これに対し,労働審判は原則3回以内で審理を終結しなければならないと法律で定められており,実際にも97%以上が3回以内で,7割は2回以内で終結しています。

これは,労働審判が,労働事件を迅速かつ適切に解決するという目的のために作られた制度だからです。この3回縛りによって,事実上第1回期日で有利な心証を得た方が勝つことになります。そのため,作戦としては先手必勝,先行逃げ切りが最も効果的といえ,強い証拠(ジョーカー)を最初に出すことを求められます。

裁判官だけでなく,「労働審判員」も審理に加わる

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労働審判の2つめの特徴は,裁判官以外の一般市民が審理に加わることです。右の図を見てください。「地方裁判所」の下に3つの黒い影が座っています。

真ん中にいる「労働審判官」は裁判官のことです。その両脇の「労働審判員」は,労働組合の役員(労働者側代表)企業経営者・人事担当者(使用者側代表)です。

この3名から成る「労働審判委員会」が審理を行います。このように,裁判官以外の第三者が審理に加わるのは,労働現場の実情に詳しい人材が参加することにより,適切かつ妥当な解決を図る趣旨です。

福岡地裁本庁では,1.審判員用の事件記録があることと,2.まず審判員から質問を行い,その後に裁判官が補充で質問を行う運用となっていることから,審判員が積極的に参加している好ましい状況があります。

ときには,使用者側の審判員(と思われる人物)が「労務管理が杜撰すぎる!なっとらん!」と同じ経営者の立場から相手方の社長を説教してくれることがあり,労働審判ならではの光景です。

直接口頭主義

労働審判の3つめの特徴は,直接口頭主義です。通常訴訟の場合,準備書面という書面と紙の証拠(書証)を交互に提出する方式で審理が進んでいきます。「リーガル・ハイ」のように法廷で丁々発止というのは尋問のとき以外はあまり見られない光景です。

これに対し,労働審判は原則として書面を出すのは第1回期日前までで,証拠も(厳選して)すべて出しておく必要があります。その上で,第1回期日においては,予め双方の主張と証拠を読み込んでいる労働審判委員会から直接双方当事者(労働者や会社の担当者)に質問が飛び,その場で答えなければなりません。

真っ向から食い違う事実関係についても,「・・・と会社側は言ってますが,どうですか?」と即座に掘り下げていくことにより,真実らしきものが見えてくることもあります。このように,直接口頭でやりとりをすることにより,いわば尋問を先取りするからこそ,第1回期日で心証形成を行い,早期解決が可能となるのです。

権利判定機能がある!(超重要)

労働審判の4つめ特徴は,権利判定機能が備わっている点です。どういうことか,先ほどの図で説明すると,労働審判手続は,事実関係や法的争点について直接口頭でやりとりして調べた後,「調停」を試みることになります(「第1回期日」~「第3回期日」の左に「調停」とありますね。)。

これは要するに,お互い譲歩して妥当な解決水準を模索するわけです。原則として交互に(他方は部屋から退出),労働審判委員会に対して,「ここまでなら妥協できるが,この点は譲れない。」等の言い分を伝え,そのうち伝えていい部分を委員会から他方に伝え,それを検討した結果を委員会に伝え・・・という作業を繰り返します。なかなか合意点が見いだせない場合は,途中で双方とも部屋から出され,労働審判委員会の見解や「調停案」が提示されることもあります。

そして,それでもいずれか一方が応じなければ,「調停」は打ち切られ,最終的には「労働審判」が言い渡されます。制度・手続と同じ名称のためわかりにくいのですが,これは「≒判決」のイメージで,双方の主張立証を踏まえて,労働審判委員会が妥当と考える解決内容を具体的に示されます。

「えっ,そんなの当たり前じゃないの?」と思われるかもしれませんが,たとえば労働局のあっせんは参加するか否かも自由なため,まったく強制力がありません。これに対し,労働審判手続では,呼出しを無視すれば欠席判決ならぬ「欠席労働審判」が出るリスクがあるため,会社側が出廷しないことはごく稀です。

また,この「労働審判」は裁判所のれっきとした判断(公権的判断)ですから,確定すれば判決と同一の効力があり,差押え等の強制執行をすることも可能となります。そうすると,労使双方にとって,0か100かという危険な賭けを行うよりも,進んで譲歩してある程度の水準で「調停」に応じようとの強い動機付けが生まれます。

この権利判定機能こそが,労働審判制度の成功(順調な利用件数推移,高い調停成立率)の要因といわれています。

異議が出れば本訴(通常訴訟)に移行する

それでも調停が成立せずに「労働審判」が言い渡された場合,これに不服があれば異議を申立てることができ,通常訴訟に移行することになります。言い渡された労働審判の効力は失われます。

「それなら最初から通常訴訟をやった方が早く終わるんじゃないの?」と思われるかもしれませんが,労働審判を経由した場合,基本的に双方の主張立証は出尽くしているため,最初から通常訴訟を起こした場合よりも解決までのトータルの時間は短くて済みます。

また,当事務所の場合,労働審判が本訴(通常訴訟)に移行した場合の着手金は,最初から裁判を起こした場合と同額になるように設定していますので,経済的負担は変わりません。したがって,労働審判をすること自体がマイナスになることはありませんので,ご安心ください。

手続を弁護士に依頼した方がいい理由

ところで,労働審判を自分でやるのと弁護士に依頼するのとでは,どちらがよいでしょうか?私は,自信をもって「弁護士に依頼した方がいいですよ。」とお答えします。その理由は次のとおりです。

短期決戦のため,申立までの準備が勝敗を左右する!

労働審判は第1回期日でほぼ勝負が決まるという極端な短期決戦です。そのため,申立書や証拠の取捨選択の判断によって結果が大きく左右されます。

特に,申立書の必要的記載事項(必ず記載しなければならない事項)である「予想される争点」をどう捉え,各争点につき,主張の正当性を基礎づけるために証拠だけでなく自己に有利な判例・学説等を適切に引用して論理を組み立てる必要があります。

弁護士はまさにこのような仕事を行うプロフェッショナルです。

期日当日のプレゼンと弁論も勝負の要!

福岡地裁本庁では,第1回期日の冒頭に,各5分間ずつ,申立書・答弁書や証拠状況を踏まえて代理人弁護士がプレゼンテーションを行う運用となっています。これは,争点を明確にし,各当事者が特に重要と考えている事実や証拠を主体的にアピールする機会として設けられており,短期決戦を有利に進める上で,このプレゼンの出来は重要なポイントとなります。

私は,このプレゼンを重視しており,原則として必ず事前にペーパーを作成してアピールポイントを整理した上で第1回期日に臨んでいます。また,弁護士が代理人に就いていれば,法廷で当事者の隣で座って本人に代わって回答したりフォローしたりすることもできます。

期日前日は眠れないほど緊張される(無理もありません。)労働者の方にとって,質問の狙いや委員の発言の趣旨を適切に読み取って不利な展開とならぬよう目配せし,調停の際少しでも有利な解決水準となるよう駆け引きすることができるのも,弁護士だけです。

統計上も,弁護士をつけた方が解決率は高い!

最高裁によると,申立人(労働者側)に代理人がついた場合(全体の84.1%)の調停成立率は71.2%であるのに対し,弁護士をつけずに労働審判を申し立てた場合の調停成立率は59.2%と12.0ポイントの開きがあります(2013~2016年平均)。なお,双方ともに弁護士がついていない場合の調停成立率は40.7%です。

福岡地裁本庁も同様の傾向であり,裁判所と弁護士会との協議会においても,弁護士選任率を上げることが実効的解決に資するとの見解で一致しています。

なぜなら,弁護士は常に「本訴(通常訴訟)に移行して判決になった場合どうなるか」という視点で労働審判手続に臨んでおり,不当に低すぎる水準であれば強気で押す一方,判決になると厳しそうな場合はギリギリ有利なところで和解(調停成立)できるよう,考えを巡らせることができるからです。

弁護士は依頼者との利益相反の心配がない!

弁護士は,すべての法律事務を扱うことができる唯一の国家資格です。したがって,弁護士が労働審判手続を選択するとき,それは純粋に依頼者にとって最も利益となる適切な手続であると考えたからにほかなりません。

逆にいえば,会社が破産寸前の場合であれば,他の債権者より早く回収するために先取特権に基づく差押えや示談交渉による早期回収を優先するでしょうし,アテにしていた会社の優良資産が売却されそうであれば仮処分でピン止めすることから始めなくてはなりません。要するに,弁護士にとって労働審判手続は数多くの紛争解決メニューの1つにすぎません。

また,労働審判で解決できずに本訴(通常訴訟)に移行したとしても,弁護士は引き続き代理人として活動でき,依頼者も出廷する必要がなくなるので大したデメリットはありません。

これに対し,他士業や謎の団体等が労働審判のサポートと称して報酬を得るのはそもそも非弁行為という犯罪に該当するだけでなく,本訴に移行した場合は手を離さざるをえなくなることから,依頼者の利益を犠牲にして労働審判手続内で解決させようとの利益相反圧力が常に存在することになります。

どういうことかというと,たとえば客観的にみて本来200万円もらえるべき事案であるにもかかわらず,会社側が70万円しか払わないと強硬に主張した場合,弁護士であれば躊躇なく調停を蹴って本訴で200万円を目指しますが(本訴では弁護士のみが出廷すればOK)弁護士以外の者は1年以上本訴につきあったり(しかも,毎回本人が出廷する必要あり。),法廷に立って証人尋問をすることは絶対不可能なため,「70万円で手を打て。」と耳元で囁くでしょう。このように,弁護士以外の「サポーター」と依頼者の利益は,潜在的に衝突する関係にあるのです。

労働審判に適した事件と適さない事件

1.労働審判に適した事件

弁護士会と裁判所との間の協議会でもよく話題に上るのですが(ただし,以下は私の個人的見解です。),残業代請求は明らかに労働審判向きの事件といえます。一日ずつの緻密な認定ではなく,ある程度柔軟に丸めて解決することが可能だからです(私は,残業代請求はほぼ全件労働審判を選択しています。)。

また,早期金銭解決前提での解雇事件も,労働審判になじむといえるでしょう。通常訴訟よりも解決水準が下がるのが難点ですが,不当解雇であることを存分に主張し,裁判所に違法無効か否かの心証や判断をもらうことができ,けじめをつけることができるからです。

逆にいえば,原職復帰の強い希望がある場合は,通常訴訟・仮処分で真っ向勝負すべきです。

2.労働審判になじまない事件

他方,パワハラ・セクハラは労働審判にはなじまないと考えます。録音等の客観的な証拠があれば別だと思いますが,それがない場合,被害供述と加害供述のいずれの信用性が高いかの問題ですから,じっくり反対尋問で供述をテストしてみないと心証をとれないはずだからです。

これは全国の労働弁護士にとっても共通の悩みのようです。また,これは私だけかもしれませんが,有期雇用の雇止めの事件も,労働審判ではなく,通常訴訟や仮処分でやる方がよいと考えています。

正社員の解雇と異なり,雇止めは期間満了をもって契約終了となるのが原則ですから,雇止めが無効というためには,例外的事情(契約の反復継続や雇用継続に対する合理的期待)を頑張って主張立証しなければなりません。

しかし,短期決戦で雇止め無効の心証まで獲得するのはシビアと考えるからです(労働契約法18条が新設されたことにより,よい方向に変化してくれればありがたいのですが。)。

ただし,上記は一般論にすぎず,具体的な事実関係や証拠状況により最適な手続は変わりうるので,遠慮なく相談してください。

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